お役立ちTIPS

そのオケ、応援できます(東日本篇)

Text by 嬰5(@A5_0409

オーケストラは経営構造上、収益化は難しく、ときに経営危機に瀕する場合さえあります。

あわせて読みたい
オーケストラはビジネスか!?大赤字を支える「ワケ」~前編~Introduction by 明日梨(asunone編集長) 約1年前に『asunone』をオープンして以来、まだまだ未熟なメディア...

実は、オーケストラを応援する方法が各楽団で制度化されています。「賛助会」や「後援会」といった言葉、耳にしたことがあるかもしれません。そんな各オーケストラの支援方法を東日本篇として今回まとめてみました。ユニークな仕組みを設けている楽団もありましたよ!

今回登場するオーケストラ

プロオケ25団体(日本オーケストラ連盟正会員)のうち東日本で主に活動するオーケストラ13団体が登場します。
札幌交響楽団(札響)、仙台フィルハーモニー管弦楽団(仙台フィル)、山形交響楽団(山響)、群馬交響楽団(群響)、新日本フィルハーモニー交響楽団(新日本フィル)、東京交響楽団(東響)、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(東京シティ・フィル)、東京都交響楽団(都響)、東京ニューシティー管弦楽団(東京ニューシティー)、東京フィルハーモニー交響楽団(東京フィル)、日本フィルハーモニー交響楽団(日本フィル)、読売日本交響楽団(読響)、神奈川フィルハーモニー管弦楽団(神奈川フィル)です。

NHK交響楽団については、HPで支援・賛助募集についての情報を確認できませんでした。2019年度事業計画書ではこの拡充に努めていく旨が記載されていたり、支援企業の一覧が財団概要に掲載されていたり、収支予算書にも「寄附金」の項目が確認できるので、2019年8月24日から翌年1月19日まで続いていたサーバー障害の影響で未表示となっているのだと思われます。個人的には月刊誌Philharmonyのアーカイブにアクセスできなくなってしまったのが残念です……

西日本篇はこちら!

あわせて読みたい
そのオケ、応援できます(西日本篇)Text by 嬰5(@A5_0409) オーケストラは経営構造上、収益化は難しく、ときに経営危機に瀕する場合さえあります。 h...

※掲載情報は2020年3月時点でHP、入手できた場合は楽団シーズンプログラム等から得られる情報を反映させたつもりですが、この記事をきっかけにオケを応援されようとする方には、一度ご自身で各楽団のHP等ご参照いただき、詳細及び最新の情報を確認いただきますようお願い申し上げます。各団体のリンク先は支援情報ページとしています。

定額で1年間応援したい! 〜賛助会・後援会〜

ほとんどのオーケストラが賛助会・サポーターなどの名称で、オーケストラを支援する仕組みを設けています。楽団によって名称が異なっていたり、仕組みが少々違っていたりとありますが、年会費でオーケストラを支えている点は同じです。

地元のオーケストラを応援するもヨシ、思い入れのあるオーケストラを応援するもヨシ。

楽団(制度名) 個人会員(1口) 法人会員(1口) 税制の優遇 特典
札響(パトロンズ) ¥50,000  ¥100,000  ④⑤⑥
仙台フィル(サポート会員) ¥10,000  ¥10,000
(10口から)
①②④⑤⑥⑦⑧
群響(賛助会員A) ¥20,000  ¥100,000  選択可  下記
群響(賛助会員B) ¥10,000  ¥50,000  選択可  下記
新日本フィル(パトロネージュ) ¥250,000
¥50,000
¥30,000
¥10,000,000
¥5,000,000
¥500,000
○  ①②④⑤⑥⑦
東響(サポート会員) ¥10,000~ ¥100,000~ ①②④⑤⑥⑦
東京シティ・フィル(賛助・維持会員) ¥300,000
¥100,000
¥30,000
¥10,000 
個人と同じ  記載なし ①②④⑤⑥⑦
都響(TMSOサポーター) ¥10,000 下記 ①②④⑤⑥⑦⑧
東京ニューシティ(賛助会員) ¥100,000
¥30,000
¥300,000 記載なし ③④⑤⑥⑦
東京フィル(賛助会) ¥10,000~
¥1,000,000
¥500,000
¥300,000
記載なし
日本フィル(パトロネージュ) ¥30,000~
¥1,000,000
②③④⑦⑧
日本フィル(サポーターズクラブ) ¥10,000 記載なし ①②③⑦⑧
日本フィル(特別会員)

¥360,000 ⑤⑥
読響(賛助会員) ¥300,000
¥10,000
¥300,0000 ①②③④⑤⑥⑦
神奈川フィル(ブルーダル・サポーターズ) ¥5,000~
¥500,000 
¥100,000~
¥3,000,000 
①②③④⑤⑥⑦

※特典
①チケット会員割引料金 ②チケット先行予約 ③招待券 ④演奏会プログラム芳名掲載(個人) ⑤演奏会プログラム芳名掲載(法人) ⑥ホームページ芳名掲載(法人) ⑦会員イベント ⑧情報誌

 

札響のコーポレートパトロンズは10口以上で「Platinum会員」、2口以上で「Gold会員」、1口だと「Bronze会員」とランク設定がされています。

仙台フィルの個人サポート会員は10口以上で「コーラルSP会員」、5口以上で「コーラルSP会員」、法人サポート会員は100口以上で「プラチナ会員」などとランク設定がされています。

群響は税制の優遇を受けない場合は主催公演の入場回数券を入手できます。入手できる枚数は、個人会員Bは3枚に対して個人会員Aは8枚、などと倍以上に増えるのがポイントです。

新日本フィルには1口 ¥10,000の「新日本フィルを支えるすみだの会」もあり、新日本フィルの本拠地「すみだトリフォニーホール」がある墨田区在住・在勤の方が対象です。法人もこれに入会可能で、1口 ¥1,000,000の特別法人スポンサー、¥500,000の法人スポンサー、¥100,000の法人サポーターとなっています。プロボノ賛助会員知識やスキル等で支援をする企業、団体)も募集しており、法律事務所や日本マイクロソフト、博報堂コンサルティングなどが名を連ねます。

 

東響都響神奈川フィルの個人会員は額によってランク名が変わり、特典もそれに応じて変わっていきます

東響 個人会員(東響ホームページ))

 

都響は法人協賛制度を充実させており、シリーズ支援(定期演奏会 A/B/C, プロムナードコンサートへの年間を通じた支援)、演奏会支援(個別の演奏会への支援)、公益・賛助支援(楽団の事業全般)、ヤングシート支援(青少年招待席)も募集しています。協賛する法人は「協賛パートナー」としてHP等に掲載されています。

神奈川フィルには1口10万で定期演奏会のチケット20席を購入でき、社員の福利厚生や顧客サービスに利用できる法人チケット会員」制度もあります。

税制の優遇……?

表の中に「税制の優遇」とありますね。これは一体なんでしょう?

プロ・オーケストラの多くが「公益財団法人」。コウエキザイダンホウジン、なにやら幾何学的な図形が地面に現れそうな 難しげな単語ですが、学術、文化芸術、福祉、教育などの世の中に貢献しているよね、という「公益」のある事業を行っている財団法人のことです。「公益社団法人」もあり、組織の規定が違っているのですが「公益」についての考え方は同じです。今回登場するオーケストラ関係団体だと、札響、仙台フィル、群響、新日本フィル、東響、都響、東京フィル、日本フィル、読響、神奈川フィルは公益財団法人。山形交響楽協会(山響)は公益社団法人。認定と監督の権限は内閣総理大臣もしくは都道府県知事にあり、申請はなかなか難しいと聞きます。東京シティ・フィル、東京ニューシティは一般社団法人です。

公益財団法人 or 公益社団法人になるメリットは寄附金が税額控除の対象となること。要は、私たちが寄附しようとしたときに、私たちは減税を受けられますし、オーケストラ側としても寄附してもらいやすくなる、という嬉しい制度なのです。(一方でこの制度は完全ではなく、今回の新型コロナウイルスに関してその問題点を指摘しているのが冒頭引用の朝日新聞記事です)

ここはドン!と 〜寄附〜

寄附制度を設けている楽団もあります。

札響は1口 ¥10,000で「寄附して支援」「聴いて支援」を選べる制度です。
山響は個人1口 ¥5,000、法人1口¥100,000から寄附を募っています。定期演奏会プログラム冊子に芳名掲載がされます。
群響神奈川フィルも個人・法人問わず寄附を募っています。
日本フィルはクレジットカード利用によりオンライン寄附できるシステムを整えています。
それぞれ税制の優遇が受けられます。

また、仙台フィルは楽器購入募金を行なっています。主催演奏会会場に募金箱を設置しています。

物品寄附やサービス提供の支援(インカインド)を募集する楽団も。東響がその例です。

演奏会運営に参画? 〜日本フィル〜

オーケストラが大好きで、演奏会運営にも興味がある。そんな方向けの制度を整えている楽団もありました。

日本フィルは「日本フィルハーモニー協会」として、オーケストラ聴衆の裾野を広げる活動や聴衆と楽団員の交流の機会を広げたり地域のコンサート作りを行う会員を募集しています。会員は全国に約3,000名!協会内に合唱団もあり、日本フィルとの共演もできるそうですよ。

演奏会もメディアです 〜広告掲載〜

演奏会プログラムに掲載する広告を募集している楽団があります。群響日本フィルがホームページにて広告募集を行っています。

あなたのご遺志、音楽に託せます 〜遺贈〜

遺産を、本人の意思に基づき公益団体に寄付するのが遺贈。札響群響日本フィルが導入しています。

ユニークな取り組み

VISAカード

東響は「TOKYO SYMPHONY VISAカード」を導入しています。「ご利用金額の一部が、カード会員の皆様にご負担をおかけすることなく、東京交響楽団の演奏活動資金として三井住友カードから還元されるシステムになっている文化貢献型のカード」とのことです。チケット割引、先行予約などの特典も。

TOKYO SYMPHONY VISAカード(東響ホームページ)

ふるさと納税

ふるさと納税で使用使途を指定すると、オーケストラを支援できる場合があります。高崎市にふるさと納税すると群馬交響楽団に対する活動支援、神奈川県にふるさと納税すると「あらゆる人が文化芸術に触れ笑顔になれる社会を!(オーケストラ鑑賞機会の提供)」を使用使途として選択でき、それぞれ群響神奈川フィルを支援することができます。

支援自動販売機

支援自動販売機は、設置した自動販売機の売り上げの一部を寄付金としてオーケストラの活動を支援するというもの。仙台フィル群響神奈川フィルが導入しています。

神奈川フィル 支援自動販売機(神奈川フィルHP)

結びに

楽団によって応援する仕組みも様々、似たような制度名でも細かいところが結構違っていることが伝わりましたでしょうか? (正直、調べるのは骨が折れました) 多様な制度がある中で、この記事がオーケストラ愛好家一人一人に合う制度を見つかるきっかけとなれば幸いです。

紙幅上やむなく割愛しましたが、東日本で活動するオーケストラであり日本オーケストラ連盟準会員である、千葉交響楽団静岡交響楽団も同様の制度を整備していることを記しておきます。

もちろん、各オーケストラの演奏会に足を運ぶこと、特に定期会員などのコンサート会員になることもオーケストラを応援するのに欠かせない手段ですので、そちらもお忘れなく!

あわせて読みたい
そのオケ、応援できます(西日本篇)Text by 嬰5(@A5_0409) オーケストラは経営構造上、収益化は難しく、ときに経営危機に瀕する場合さえあります。 h...
ABOUT ME
アバター
嬰5
福岡市出身。九州大学大学院芸術工学府芸術工学専攻所属。専門は「聴覚心理学」。 卒業論文や修士論文は音楽に関連した分野、大学は芸術工学部音響設計学科で学びながら所属サークルはオーケストラ、アルバイトは演奏会撮影の補助、時に演奏会制作・運営に関わり、高校・中学の部活は吹奏楽、趣味は作編曲、と音楽漬けの日々を過ごして来た人間です。